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大学のKPI

投稿日:2021年 08月 13日

 私がかつて所属していた大学は、開学二年目から定員割れとなり、存続が危ぶまれるような状況に陥った。その理由は、競合が増えたということと、評価が低かったということである。そのような状況の時に設定すべき目標は、自学の評価を上げるということになる。評価を上げるためには、就職などで優れた実績を上げることが必要であり、そのためには学ぶ意欲と基礎学力を備えた学生の存在が不可欠となる。

 大学は教育機関であるから、入学してきた様々な学生を教育し、成長させ、優れた実績を挙げていくという手段をとるべきではあるが、短期的に成果を挙げるような状態にまで成長させていくということは、きわめて困難なことであると思われた。そうなると考えられる手段は、学ぶ意欲と基礎学力を備えた高校生に入学してもらうということになる。しかしこれも難しいことで、定員割れしているような大学に、そのような高校生は通常、入学しようとは思わないからである。

 このような状況の中で、ゴールである自学の評価を上げるということに辿り着けるストーリーとはどのようなものなのか、そもそもそのようなストーリーが描けるものなのかということについて考え続けた。適切なKPIを設定するために最も大切なことは、顧客を想定することと、そのインサイトを探ることである。この場合、想定顧客は学ぶ意欲と基礎学力を備えた高校生ということになる。

 学ぶ意欲と基礎学力を備えた高校生は、通常、偏差値の高い大学に進学していくことになるのであるが、そうならない高校生はいるのかということを考えたときに、経済的な理由により、大学進学を断念している高校生の存在に思い至ったのである。そして、その断念している事情に対応できる制度があれば、自学進学を選択してくれるのではないかと思ったのである。

 そのために考えた出したものが、資格特待生という制度であった。これは大学指定の資格(この時は実用英検二級など)を取得していれば、授業料を全額免除するというもので、毎年、審査はあるが、更新基準をクリアしていれば四年間免除が継続するというものであった。この制度を利用してくれる高校生が増えたならば、在学中、そして就職時に優れた実績を挙げてくれることが期待できる。毎年の更新をクリアしようとして、一生懸命に勉強してくれれば、学内の雰囲気も学び志向となる。

 この時に設定したKPIは、入学してくる資格特待生の人数であった。