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広報について考える

投稿日:2009年 12月 29日

 新幹線に乗っているときに、気になっているポスターがある。それはある日本酒メーカーのポスターで、外国人がお酒を飲んでいる写真と一緒に、『酒は人をサムライにする』というコピーが付いているものである。お酒、特に日本酒好きの私にとっては非常に引き付けられるポスターで、いつもニヤニヤしながら眺めている。ただこのポスターを見て感じることは、日本酒の宣伝にはなっているが、残念ながらその銘柄の宣伝にはなっていないということである。

先日、新潟に出張に行った際に、新潟駅のホームに止まっている在来線の車内を何気なく覗いてみた。何と車内は学校のポスターだらけ。地元の大学、短大はもちろんのこと、遠い千葉県の大学のポスターも貼られていた。以前、広告・看板業界の一番のお客は学校と病院だということを聞いたことがあったが、確かにそのとおりだと思わせられる光景であった。

 ただこの場合も前述のお酒のポスターと同じく、その学校ならではの特色、すなわち他の学校にはない魅力についてアピールしているものは残念ながら見当たらなかった。

 

学校の広報手段は学校の種類によって異なるが、広い範囲をカバーする受験雑誌等の媒体と、スポット的な広報である車内ポスター等、そして個別の接触である説明会などに大きく分けることができる。これらの広報手段は、大学や短期大学、専門学校といったところでは、殆どが実施している。したがって、その中で他の学校との差別化を図るためには、業界の常識や既成観念にとらわれない発想が求められよう。それは決して電車や駅全体を1つの学校の宣伝で埋め尽くすというような、派手な手法を意味するものではなく、広報の目的は何かという、基本に戻って考えることである。

 例えば、学校の宣伝を見る人の立場に立って考えてみると、どうであろうか。高校生の場合であれば、どのようなことが知りたいのであろうか。上級学校へ進学する目的が広い意味での知識や技術を習得することであることを考えれば、その学校で、どのような力がどのような方法で身に付けられるのか、といったことが最大の関心事ではないだろうか。

 学校の広報は、この点をきちんと、そして継続して伝えていくことが大切である。薬の効能書きと同じで、この学校に行けばこんな力が付くということを伝えていくのである。そのことによって教職員の目指す方向性も統一され、広報が先導する改革となるであろう。広報の着実かつ積極的な活用を期待したい。