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大学生の就職を考える

投稿日:2011年 04月 26日

今回はちょっと長くなりますが、大学生の就職に関して日ごろ感じていることを書いてみました。
 以前、企業の人事担当者に「企業が求める人材像」を聞いてみました。一定の基礎学力を問うところは少数派で、多くはコミュニケーション能力とか課題解決力、忍耐力、明るさ、好感度といった広い意味での社会力、人間力といったものに属する能力・特性を挙げていました。

と ころが、これまでの学校では、社会力、人間力といった社会で生き抜くための武器を身に付けさせる教育はほとんど行われていません。学校と社会の接続の場面 である就職の現場に関わった人であれば、学校で高く評価される学生・生徒像と、企業で高く評価される学生・生徒像が異なるということは、感覚的に感じてい たことと思います。感じていながらも強い対応の必要性を感じなかったのは、日本経済の成長に伴う人材需要の継続により、そのギャップが問題として表面化し なかったからです。

そ れがリーマンショックに端を発する不況による人材需要の減少、そしてそれに加え、生産拠点の海外移転や人件費抑制のための非正規社員比率の増加、グローバ ル化による外国人社員の増加といった構造的な問題により、一挙に表面化してきたのです。この結果が、今年度の低い就職内定率や、15歳から24歳までの若年労働者層において約41パーセントが正規雇用でないという、異常といってよい事態に現れているといえるでしょう。

このような状況に至っては、もはや問題の先送りは許されません。今年の1月に出された中央教育審議会の答申でも、学校から社会・職業への円滑な移行に関して社会全体を通じた構造的問題が存在することを指摘し、社会を構成する各界が一体となって対応することの必要性を提言しています。

社 会の構造が変化したことで生じてきた問題点であるならば、学校教育の構造自体を変えていくことが本来的な対応です。中央教育審議会の答申でも、新たな学校 種を創設することの検討の必要性も挙げられています。しかし、短期的な成果の必要性をも考えるならば、このような抜本的な対応と併行して、現行の枠組みの 中で可能な対応を実施することも求められるでしょう。

送 りだす学校、受け入れる学校、そして産業界でも、連携してのキャリア教育、職業教育の必要性を、既に一部では感じていると思います。また、行政においても 現実に連携の動きが出始めています。このような動きをより実効性あるものとするためには、関係者、それも直接の関係者間での早急な意見交換とプランづくり が急務と思われます。