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VUCAの時代に必要なことは

投稿日:2021年 03月 21日


 人工知能や情報通信技術の進化により、大学の在り方、教育の手法といったことに関して大きな変化も予想される状況であるが、他の分野では既に「VUCAの時代」といわれるように、短期的な将来も読みにくい時代になっているといわれている。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったもので、もともとは冷戦後の複雑な国家関係を示す言葉だったのが、2010年頃からは現代のビジネスを取り巻く状況を示す言葉としても使われるようになったものである。

 しかし、読みにくさの難易度は異なっていても、明日の天気予報が外れることが少なくないことからもわかる通り、元来、将来は正確には予測できないものである。どのようなことをしたら今より状況がよくなるのか、正確には誰にもわからないので、いろいろな考え方が出てくることになり、その結果、統一された改善活動は生じにくいことになる。

 私が以前、所属していた大学が定員割れとなり、そこからの回復を図ろうとしていた時でも、広報活動の充実とそれに基づく教育内容の改善が最も重要だと考える者、就職実績を良くすることが急務だと主張する者、これからの大学では地域貢献が最も求められると説く者など、さまざまな方向の改善策が出され、それぞれの策がそれぞれによって実施されていた。もちろん、それぞれの施策はそれなりに意味のあることであるから、実施されることによって何らかの改善を組織にもたらせることにはなる。ただし、どうしても散発的な活動になってしまうので、体系的に施策を展開することと比べると、成果は少ないものになってしまう。

 限られたマンパワーを散発的な施策に分散させるのでなく、組織を良い状態にしていくために最も重要なことに集中させることができれば、迅速な改善が可能になるのである。そのためには、まず組織の達成すべき目標を明らかにする必要がある。なぜならば、目指すべきゴールが決まらないことには、何を目指して計画するのかが決まらないからである。

 そしてゴールが決まったならば、次にそのゴールに到達するためには、どのような状態になっていればいいのかを考えるのである。例えば、縮小していく市場においては、常に新しい製品を供給して新しい需要を開拓する必要があるので、新製品で売り上げを伸ばすというゴールを設定するならば、売り上げの中の一定以上の割合を新製品が占めているという状態が、あるべき状態ということになる。このような状態を描けたらば、次には、そのような状態になるにはどのようなアクションが必要かということを考え、計画を策定していくのである。そうすることで、目標達成につながる活動が明らかとなり、組織のマンパワーを効率的に集中投下できる計画とすることができるのである。