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大学職員の役割は

投稿日:2024年 05月 14日

 

 私自身、大学職員として働いていた期間が長かったので、総務、経理、教務、学生支援、就職支援、入試広報といった、ほぼすべての業務を経験している。その中で感じていた職員の役割というものは、大学の運営を下から支えているというものであった。教員と職員は車の両輪であって、対等な関係で車を動かしているという考え方もあったが、現場にいる者の感覚としては、やはり下から支えているというほうが、しっくりくるものであった。

 ある教員が言った言葉が印象に残っている。それは、自分たちは芝居小屋の役者であるというものである。その言葉の裏には、役者が力を十分に発揮できるようにするための環境整備など、芝居小屋全体の設営や管理は、職員が担って欲しいという意味があったと思う。これは表現の方法はともかく、教員と職員の役割分担をよく表していると、聞いた当時、感心したのを今でも覚えている。

 現在でも、この状況は変わっていないと思う。教員は、学生に対して知識等の伝授など、その成長を支援する教育を提供し、そのもととなる研究を行っている。これに対して職員は、教員が充実した教育を提供できるように、環境整備をはじめ、大学の運営が適切に行われるようにするための業務を行っているのである。

 大学を取り巻く環境が穏やかであった時代にあっては、このような役割分担だけで何の問題もなかったのであるが、十八歳人口の減少を中心とした厳しい経営環境に変わってくると、それに対して何らかの対策を講じる必要が出てくることになる。それを誰が担ったのかが問題となる。多くの大学では、教員を中心に対策を講じたのではないだろうか。私がかつて所属していた大学でも、定員割れからの回復を図るプロジェクト活動に、参加した職員は私だけであった。

 どの組織においても、予測していなかった危機的な状況が起きた場合には、これは大変だ、何とかしなければならないということで、本来の業務を超えて協力していくという状況は生じやすい。大学においても同様で、学生が集まらないといった危機的な状況になった時、教員もその対応に、多大な精力を注いだというケースが多かったのではないだろうか。

 しかし、そのような危機的状況も慢性化してくると、いつまでも担当外の業務に従事していられないということで、教員の協力体制はだんだんと薄れていったように思う。そして職員はといえば、もともとそのような自分の業務範囲を超えることに参加する権限といったものはなかったので、参加しようという意識も持ちにくかったため、ほとんど参加していないという状況があったと思われる。すなわち、現状を変えていく、改善していくといった業務を担う人が不在となっている状況、これが、なかなか改善が思うように進んでいかない大学の現状ではないかと思う。