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幅の広いキャリアを考える

投稿日:2010年 03月 21日

 3月は卒業の月である。今年の就職内定率は大学生で80パーセント(2月1日現在) と、昨年に比べ6.3パーセント低い数字となっている。大学に籍を置く身としては、責任を痛感している。

主要な原因としては、一昨年のリーマンショックに端を発した世界同時不況の影響で企業業績が悪化し、その結果として求人数が減少したということが、共通なものとして挙げられている。このこと自体は確かな事実である。県内でも大幅に求人を減らした企業も見受けられた。

しかし求人倍率で見る限り、昨年の2.14倍よりは悪化しているが、それでも1.62倍はあったのである(いずれも、リクルートワークスの調査) 。1.62倍といえば、計算上からは2割も未決定者が出るというような求人倍率ではない。もちろん学生に人気のある企業と、そうでもない企業があるので、計算どおりにはいかないわけであるが、それを考えてもやはり雇用のミスマッチがあったということは言えよう。

今、高等学校でも大学でも、”キャリア教育”が盛んに実践されている。キャリア教育とは、仕事を中心にして、どのような人生を送っていくかということを考えるプログラムである。内容としては、自分の適性を認識することと、社会の状況を知ることを通して、自分にあった働き方、生き方を見出そうというものになっている。

  確かに自分がどのような職業人生を送りたいかというビジョンを持って働くことができれば、めざすべき働き方に向かって効率的に進んでいくことができるとい う大きなメリットが得られるであろう。旅行の場合に、目的地が決まって初めて具体的なプランが作れるようになるということと同じである。将来の見通しにく い現在の社会にあっては、このようなキャリア教育は大変重要なものといえよう。

 ただ問題となるのは、自分にあった働き方という概念の捉え方である。それを非常に狭く捉えてしまって自分の仕事はこれしかないと固定してしまったり、今は自分に合う仕事は見つかっていないが、そのうちにきっと見つかるだろうと将来に期待したりしてしまうことである。

仕 事というのは、活動のステージは違っても、課題を解決して成果を出すという点では共通したものである。嫌いなステージでない限りは、とりあえずステージに 立って成果を出してみよう。そんなふうに、少しワイドにキャリアを考えることが、キャリアを作り出すスタート時点では必要なのではないだろうか。