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ロジカルシンキングのすすめ 2

投稿日:2021年 10月 31日

 コンビニエンスストア業界のトップを走っているセブン-イレブンでは、この仮説思考が日々繰り返されているという。例えば、ペットボトル飲料についてであるが、陳列されている種類が多ければ多いほど選択の幅があることになり、売り上げ増につながると考えがちである。それに対して、種類が多すぎてかえって選べなくなっているのではないかという仮説が出された。この仮説を実験するため、売れている商品を中心に種類を絞ってみたところ、なんと売り上げが三割も伸びたという。また、売れ筋商品を中心に種類を絞り込んだことで、売れ筋商品の在庫は多くなり、売り切れによる機会の逸失も防げることになったという。

 また、商品の陳列場所についても仮説思考を活用している。例えば、サンドイッチの隣にカップスープやコーヒー飲料を並べたり、おにぎりの隣に緑茶やウーロン茶のペットボトルを並べたりといった具合である。このように、さまざまな仮説を立て、それを実験してみて、成果が出れば継続し、出なければ別の仮説を立てるというように、常に仮説サイクルを回し続けているのである。

 店舗の近くで行われる、行事やイベントによる売れる商品の変化予測についても、同じく仮説思考が活用されている。例えば、近くにある小学校で運動会が行われる場合に、おそらくこのようなものが売れるであろうという仮説を立て、それに基づいて仕入れを行うのである。もちろん当たりはずれはあるだろうが、その結果は次回に生かされることになるし、他のイベントが開催される場合の参考にもなることになる。

 そして、このような各店舗における仮説思考とその結果は、全国の店舗で共有されることになり、このような試みが全店舗で行われることで、仕入れ予測の正確性はどんどんと向上していくことになる。セブン-イレブンが、面積当たりの売り上げでコンビニエンスストア業界のトップを走り続けていられるのは、味が美味しいなどの理由ももちろんあるだろうが、この仮説思考が果たしている役割も小さくないように思われる。

スーパーマーケットなどでも、季節の鍋物の材料を一か所にまとめて陳列し、購買意欲を促進するとともに、買い物の便宜を図っている例を見かけることもあるが、あれも仮説思考の表れといえよう。