大学の進む道は 2
投稿日:2025年 08月 12日
コモディティ化からの脱却
このようなコモディティ化から抜け出し、他と差別化を図る方法として、三つの方策が挙げられる。一つは、機能的価値を売り物にするのではなく、情緒的価値をアピールするという方法である。ときどき妻のお供で、スーパーマーケットに行くことがある。以前は、お煎餅が好物なので、店内でお煎餅を物色することが多かったが、糖質を取り過ぎてしまうので、最近はチョコレートやナッツ類を選ぶように心がけている。
チョコレートの売り場を見ると、数年前まではあまり見かけなかった、カカオの含有量の多いチョコレートが数多く並んでいて、まさにコモディティ化となっている。ナッツ類も同様で、多くが無塩のものとなっていて、以前であれば無塩のものを選ぶのは簡単であったが、今では多くの中から選ばなければならなくなっている。いずれも近年の健康志向に対応して、機能面から商品開発が行われた結果、均質化という状況を招いているといえる。
このような中で、情緒的な価値をアピールして成功したチョコレートが「キットカット」である。その名前の読みから、「きっと勝つと」という意味を持つものものと解釈され、受験生を応援するためのグッズ、お守りとして位置づけられたのである。メーカー側も、市場での、このような意味づけを活用し、CМ等で受験生応援メッセージを流すなどして、受験のお守り、応援グッズとしての意味づけを強化し、確立していったのである。商品自体は変わっていないのに、意味づけが新しくなるという、意味のイノベーションといえるような事例である。
二つ目の方策は、ブランディングである。魅力的なブランドとしてのポジションが確立されたものであれば、機能や価格といった条件は、それほど重視されずに選ばれるようになるからである。以前、地方の縫製工場でつくられた製品が、ブランドのタグが付くことで、このような価格で売られているということを聞いた工場のスタッフが、驚愕していたのをテレビで見たことがあったが、それだけブランドの力は強力といえる。
そして三つ目が、顧客視点に立ち戻り、顧客が必要とするものは何か、顧客自身も気づいていない潜在ニーズは何か、ということを洞察していくということである。顧客の立場に立ったことで成功した事例の一つとして、「chocoZAP」というフィットネスジムが挙げられる。このジムは、原則二十四時間使い放題で、しかも利用料は月額三二七八円という低価格となっている。ちょっとした空き時間に気軽に通えるコンビニジムというコンセプトで、二〇二二年九月にスタートし、一年後には会員数は八十万人を突破し、国内フィットネスジム業界でトップの会員数となっている。
今、少しでも時間があればスマホを見るという人は多い。「chocoZAP」は、スマホとトレーニングを連携させることで、運動習慣のない、フィットネスジムの潜在顧客を掘り起こしたのである。経営者の瀬戸氏は、成功の理由をある雑誌の中で「常に相手の立場に立って考える、ただそれだけ」と話している。
- 2025年8月
- 2025年6月
- 2025年3月
- 2025年2月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年5月
- 2023年10月
- 2023年4月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年2月
- 2021年12月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年5月
- 2021年3月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年4月
- 2020年1月
- 2019年5月
- 2019年3月
- 2018年12月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年7月
- 2013年11月
- 2013年6月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年9月
- 2012年7月
- 2012年4月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年8月
- 2010年6月
- 2010年3月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年12月
- 2009年8月
- 2009年5月
- 2009年4月